最新のWindows 11よりWindows 10のほうがなぜシェアが高いのか?

最新のWindows 11よりWindows 10のほうがなぜシェアが高いのか?

Image:Microsoft

Windows 10とWindows 11の市場シェアの違い

 Windows 10は、2015年7月にマイクロソフトから発売されたオペレーティングシステムです。長年にわたり、多くのユーザーに利用されてきました。一方で、Windows 11は2021年10月にリリースされ、Windows 10の後継バージョンとして登場しました。現在の市場シェアを見てみると、Windows 10が依然として高い割合を占めています。

 そしえ、最新の調査によると、Windows 10のシェアは約70%前後であり、Windows 11は10%前後にとどまっています。つまり、Windows 10のシェアはWindows 11の約7倍に達しています。この大きな差にはいくつかの理由があります。

Windows 10の高いシェアの理由とは?

安定性と信頼性の高さ

 Windows 10は、発売から約8年が経過しており、その間に数多くのアップデートが行われてきました。これにより、バグの修正や機能の改善が繰り返され、安定性と信頼性が非常に高く評価されています。多くのユーザーが、日常的な業務や娯楽において、問題なく利用できる点が魅力です。一方、Windows 11はまだ新しいOSであるため、一部の機能や動作に課題が残されていることがあります。そのため、慎重なユーザーや企業は移行をためらう傾向があります。

▼既存のハードウェアとの互換性

 Windows 10は、幅広いハードウェアとの互換性が高く、古いPCでも問題なく動作します。これにより、ユーザーは新しいハードウェアを購入する必要なく、既存のPCでWindows 10を利用することができます。一方、Windows 11は新しいハードウェア要件を満たす必要があるため、多くのユーザーが既存のPCでは利用できないという問題があります。特に、TPM 2.0やセキュアブートのサポートが必須であるため、これらの要件を満たさないPCではインストールできません。このため、Windows 10のシェアが高い状態が続いています。

企業のOSの移行はかなりの負荷になる

 OSの移行は大規模な作業となります。Windows 10は、セキュリティ面や生産性の向上など、企業にとって魅力的な機能が多数搭載されています。そのため、多くの企業がWindows 10を採用しています。一方、Windows 11は新しいOSであるため、企業ユーザーの移行スピードが遅いのが現状です。企業は、新しいOSへの移行に伴うリスクやコストを考慮し、慎重に計画を立てる必要があります。このため、企業ユーザーの移行が進んでいない状況が続いています。

慣れ親しんだUIの継続

 Windows 10のユーザーインターフェイス(UI)は、Windows 7やWindows 8.1からの流れを汲んでおり、ユーザーにとって馴染みやすいものとなっています。これにより、ユーザーは新しい操作方法を覚える必要がなく、スムーズに利用することができます。一方、Windows 11は大幅なUIの変更が行われており、スタートメニューの中央配置や新しいウィジェット機能など、従来の操作感とは異なる部分が多くあります。そのため、一部のユーザーは新しいUIに慣れるまで時間がかかることがあります。これがWindows 11への移行をためらう要因の一つとなっています。

新機能への需要の低さ

 Windows 11には、Windows 10にはない新しい機能が多数搭載されています。例えば、新しいSnapレイアウトやSnapグループ、Microsoft Teamsの統合などがあります。しかし、多くのユーザーにとって、これらの新機能は必須ではなく、Windows 10の機能で十分に満足できるため、Windows 11への移行意欲が低いのが現状です。また、ゲームユーザー向けにはDirectStorageやAuto HDRなどの新機能がWindows 11に追加されていますが、これらの機能も必ずしも全てのユーザーにとって必要なわけではありません。そのため、Windows 10のままで十分と感じるユーザーが多いのです。

Windows 11の今後の展開

 Windows 11は、まだ新しいOSであり、今後さらなる機能改善や安定化が期待されています。マイクロソフトは定期的にアップデートを提供し、ユーザーのフィードバックをもとに機能を改善しています。これにより、Windows 11の魅力が徐々に高まっていくでしょう。また、ハードウェアの進化に合わせて、Windows 11はより高度な機能を提供していくことが予想されます。特に、最新のプロセッサやグラフィックスカードを最大限に活用するための機能が追加されることで、パフォーマンスの向上が期待されます。一方で、Windows 10のサポート期限は2025年10月14日までとなっています。このため、徐々にWindows 11への移行が進むことが考えられます。特に、企業ユーザーを中心に、サポート終了に伴うリスクを回避するために、Windows 11への移行が加速していくでしょう。

ちなみに筆者はWindows 10です。