北朝鮮が自国内で流通するスマートフォンを自ら製造する技術を有しているとみられることが、中朝情勢に詳しい関係者の調査で明らかになりました。
各国で使用されているスマートフォンと比較すると、容量やメモリーが不足しているものの、基本ソフト(OS)は他国製のものを利用しており、スマートフォンを組み立てて動作させる技術は一定の水準に達している可能性が高いとされています。
「青い空」ブランドのスマートフォン
関係者は、中国に滞在していた2023年に北朝鮮で製造されたとされるスマートフォンを入手しました。
製品名は「プルンハヌル(青い空)」と呼ばれ、その後日本の専門機関に解析を依頼した結果、このスマートフォンは実際に北朝鮮で製造され、組み立てられた可能性が高いことが判明しました。
さらに、外観はモロッコの通信会社が販売するスマートフォンに酷似していることが明らかになりました。
OSと使用方法
OSは米グーグル社のアンドロイドが搭載されており、操作方法も一般的なアンドロイドスマートフォンとほぼ同じです。ただし、北朝鮮と国交のない米国の製品が使われているのは奇妙に思えますが、関係者によると「グーグルの正式承認を得ないまま使用している」と推測されています。
韓国語と朝鮮語の使い分け
このスマートフォンにはいくつかの興味深い特徴があります。例えば、言語設定の画面では「韓国語」と表記されていますが、言語を選択した後は北朝鮮が自国語を指す「朝鮮語」という表記が一貫して使用されています。これは設定画面だけにグーグル社の元々の表現が残っていたためと考えられます。
アプリストアの不在
また、画面上にアプリストアが存在せず、ユーザーが自由にアプリをダウンロードできない仕様になっています。これは北朝鮮が当局の許可を得たアプリのみを実店舗でインストールする制度を導入しているためとされ、アプリストア機能はスマートフォンから削除されているとみられます。
電池持ちの良さとメモリ容量の制限
スマートフォンのメモリ容量は64ギガバイト、メモリーは3ギガバイトで、同時期に製造され世界的に使用されていたスマートフォンと比較すると性能は劣っています。しかし、5日間ほど充電しなくても使用に問題がないなど、電池の持ちの良さが特筆されています。この点について、関係者は「北朝鮮国内での独特の使用方法に最適化させたのではないか」と指摘しています。
技術力の評価
関係者はまた、「スペックが一般的なスマートフォンより劣っていたり、他国製品の模倣をしていたりするものの、自国用にローカライズして問題なく動作させるには相当な技術力が必要である」と述べています。さらに、「北朝鮮の技術水準はあなどれない」と評価しています。
経済制裁下の技術開発
北朝鮮は長年にわたり国際的な経済制裁を受けており、外部からの技術や資源の流入が非常に限られています。この厳しい状況下で、北朝鮮がどのようにしてスマートフォン製造の技術を習得し、国内市場に供給するまでに至ったのかは注目に値します。
技術移転と人材育成
北朝鮮がこのような技術をどのように獲得したのかについては、いくつかの仮説が存在します。まず、中国や他の友好国からの技術移転や支援が考えられます。中国との密接な経済関係や、両国間の人的交流が技術移転の一助となっている可能性があります。また、北朝鮮国内での技術者やエンジニアの育成も重要な要素です。北朝鮮は科学技術分野の教育に力を入れており、国内の大学や研究機関で高度な技術教育を行っています。これにより、独自の技術開発能力を高めるとともに、他国の技術を取り入れて改良する能力を持つ技術者を育成しています。
内部統制と技術の未来
北朝鮮のスマートフォン製造技術は、国内の情報統制と安全保障の観点からも重要です。スマートフォンは情報通信の要であり、政府が情報流通を厳しく管理するためのツールとしても利用されています。このため、北朝鮮の技術開発は単なる経済的な必要性だけでなく、政治的な意図も含まれていると考えられます。
結論
北朝鮮製スマートフォン「青い空」は、国際的な経済制裁下での技術開発の一端を示しています。スペックは他国製品と比べて劣るものの、独自の最適化が施されており、北朝鮮の技術力の一部を垣間見ることができます。今後も北朝鮮の技術開発動向を注視することで、同国の経済や政治状況の一端を理解する手がかりとなるでしょう。
Image:
https://news.yahoo.co.jp/articles/38ae1f539598c51080d116c21fc26750787983e2
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