内閣府のメタバース「ぷらっとば~す」早期終了、システム不具合が原因 期間限定の孤独・孤立対策プロジェクト

内閣府のメタバース「ぷらっとば~す」早期終了、システム不具合が原因 期間限定の孤独・孤立対策プロジェクト

内閣府 孤独・孤立対策推進室は5月31日、「孤独・孤立対策強化月間」に合わせて公開したメタバース「ぷらっとば~す」を早期終了するとX(旧Twitter)で発表しました。

このメタバースは、29日に発生したシステムの不具合によりメンテナンスが行われていましたが、31日午前10時時点で復旧の目途が立たないと判断され、サービスの終了が決定されました。

本来、このサービスは対策強化月間の5月限定でオープンしており、もともと31日午後6時での終了が予定されていました。「ぷらっとば~す」は、孤独・孤立対策強化月間の広報・啓発活動の一環として設立されました。このメタバースは、「誰もが“ぷらっと”訪れ、同じ空間でいろいろなコンテンツに触れて、それぞれ“ぷらっと”帰っていく。そんなゆる~くつながれる場所」というコンセプトのもとで運営されていました。

ここでは、孤独や孤立に悩む人々のための相談窓口が設けられ、様々な講座が開催されていました。また、自治体やNPOなどの取り組みが紹介され、クラシックコンサートの生中継などのイベントもメタバース上で実施されていました。

このメタバースは、5月26日に社会学者の古市憲寿氏が「ぷらっとば~す」に関する意見をXに投稿したことで話題となりました。

古市氏は、孤独・孤立対策の取り組みでありながら、ユーザー同士のコミュニケーションが音声・チャットを含めて禁止されていることや、開設時間が午前10時から午後6時に限られていることを指摘しました。彼は、「こんな孤独なメタバースって世界中探してもないんじゃないでしょうか」と投稿し、この意見が大きな反響を呼びました。古市氏の投稿を受けて、「ぷらっとば~す」のユーザー数は急増しました。

一時的に定員上限に達して入室できない時間帯も発生するほどの盛況ぶりでした。しかし、注目が集まるにつれ、ルールを守らないひやかしのユーザーも増加しました。

運営側はこれに対して警告なしでアクセス権を剥奪するなど、強硬な手段を講じることになり、これがさらなる議論を引き起こしました。こうした運営手法に対しては、「そもそもメタバースである必要があるのか」といった疑問の声も多く上がりました。

一方で、会話禁止ルールを評価する意見もあり、「自分だけが輪に入れないことによる孤独を防げる」といった意見も見受けられました。

これにより、「ぷらっとば~す」は賛否両論の中で運営されていたことが明らかになりました。

最終的に、システム不具合の復旧が見込めないと判断されたため、「ぷらっとば~す」は予定よりも早くサービスを終了することとなりました。短期間での運営となりましたが、多くの人々がこのメタバースを訪れ、孤独・孤立対策の一環として利用しました。

この経験は、今後の対策や取り組みの改善に向けた重要な教訓となるでしょう。