マイクロソフトの教育ソフトにプライバシー懸念、保護団体が当局に苦情を申し立て

マイクロソフトの教育ソフトにプライバシー懸念、保護団体が当局に苦情を申し立て

米マイクロソフトが提供するオンライン教育ソフトに対して、プライバシー保護団体のNOYB(None of Your Business)が、オーストリアのプライバシー監視機関に2件の苦情を申し立てたことが6月4日に明らかになりました。

NOYBが問題視しているのは、「365エデュケーション」という学生向けのソフトウェアスイートです。

このスイートには文書作成、表計算、プレゼンテーションなどの機能が含まれており、教育現場で広く利用されています。

しかし、NOYBは、このソフトがユーザーの個人情報の取り扱いに関して、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に違反していると主張しています。

具体的には、マイクロソフトがデータ管理者としての責任を負うべきところを、必要なデータを持たない学校側に転嫁しているとしています。

これに対し、マイクロソフトは、データ保護機関からの質問には喜んで対応すると述べ、広報担当者は「365エデュケーションはGDPRをはじめとする法規を順守しており、若年層のプライバシーを保護している」とコメントしました。

もう1件の苦情は、「365エデュケーション」にインストールされているサイトの閲覧履歴データ「クッキー」に関するものです。

NOYBによれば、広告主はこのクッキーを使って消費者を追跡しているとのことです。

NOYBの弁護士であるフェリックス・マイコラシュ氏は「データの流れに関するわれわれの分析は非常に憂慮すべきものだ」と述べ、「365エデュケーションは年齢に関係なくユーザーを追跡しているようだ。

こうした行為はEUおよび欧州経済地域(EEA)の数十万人の生徒・学生に影響を与える可能性がある」と指摘しました。

NOYBは、オーストリアのデータ保護当局に対して、マイクロソフトに対する苦情の調査と罰金の科を求めています。