米研究:ネット依存が10代の脳の信号伝達に混乱を引き起こすことが判明

ネット依存が10代の脳に与える影響:米研究が示す注意力や記憶力への影響

SNSに長時間を費やす10代の若者たちが増えている中、彼らの多くは宿題や家族との関係など、もっと大切なことに集中できないという感覚を訴えています。

このようなネット依存の問題は、単なる行動上の困難にとどまらず、脳の機能にまで影響を及ぼしている可能性があることが新たな研究によって示されました。

4日に医学誌PLOSメンタルヘルスに発表された研究によれば、ネット依存と診断された10代の若者たちの脳において、注意力や記憶力を司る領域の間の信号伝達に混乱が生じていることが明らかになりました。

この研究は、10歳から19歳までの数百人を対象に2013年から2022年にかけて実施された12件の神経画像研究を検証したものです。

研究チームを率いたのは米NPO「ペニンシュラ・ファミリー・サービス」のマックス・チャン氏で、彼はネット依存の臨床診断基準について、「インターネットに執着し、インターネットから離れると禁断症状が現れ、インターネットに費やす時間のために長期間にわたって(例えば12カ月)人間関係を犠牲にしている状態」と説明しています。

このような行動パターンの結果、生活に重大な障害や混乱が生じるというのです。

10代の脳は成人の脳に比べてまだ発達途上にあり、変化する状態にあるため、ネット依存が脳に与える影響について理解することは非常に重要です。

研究チームは、この点に着目し、10代の脳におけるネット依存の影響を詳しく調査しました。

その結果、ネット依存と診断された若者たちは、脳の実行機能ネットワークが司る活動、例えば注意力、計画性、意思決定、衝動抑制などにおいて、ネット依存でない人々と比べて大きな混乱が生じていることが分かりました。

具体的には、これらの脳の領域間の連携能力が低下しているのです。この信号伝達の変化は、日常生活における注意力の維持や計画的な行動の実行を困難にし、結果として発達や健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

ネット依存がもたらす脳への影響は深刻であり、特に10代という発達途上の時期においては、その影響は一層顕著です。

注意力や記憶力の低下は学業や社会生活にも直結し、長期的にはその人の将来にも大きな影響を及ぼす可能性があります。

研究者たちは、ネット依存に対する早期介入の重要性を強調しています。若者が健全な発達を遂げるためには、インターネットの使用時間を適切に管理し、バランスの取れた生活を送ることが不可欠です。

また、親や教育者が若者のインターネット使用を監督し、必要に応じてサポートを提供することも重要です。

ネット依存の問題は、個人だけでなく社会全体にとっても重大な課題です。この研究は、ネット依存が10代の脳に及ぼす影響についての理解を深め、適切な対策を講じるための貴重な知見を提供しています。

今後もさらなる研究が進められ、この問題に対する効果的な解決策が見出されることが期待されます。