Adobeの規約改定をめぐる議論が再燃しています。
今年2月に改定された「利用条件」の一部が、国内外で注目を集めています。
Adobeは、Photoshop、Illustrator、Premiere Proなどのコンテンツ制作ソフトウェアで知られており、これらのソフトウェアは有料サービス「Creative Cloud」の一部として提供されています。
しかし、2月17日付けで更新された「基本利用条件」の一部条項(2-2条)により、Adobeがユーザーのコンテンツにアクセスする可能性が示されたことが話題となっています。
改定された条項では、Adobeがユーザーのコンテンツに対して、法律が許容する範囲で「アクセス、表示、監視」を行うことが明記されています。
また、そのアクセス方法として「自動または手動」という文言が追加されました。
ユーザーのコンテンツには、オーディオファイル、ビデオファイル、電子文書、画像などが含まれており、これらが対象となります。
この改定に対して、多くのユーザーから懸念の声が上がっています。
「Adobeによりコンテンツを閲覧される可能性がある」との指摘や、「秘密保持契約(NDA)を結んでいるプロジェクトに使えなくなるのではないか」という不安が広がっています。
最近では、ある海外ユーザーがこの件についてX(旧Twitter)に投稿し、その投稿が7万以上の「いいね」を集めました。
この反響を受けて、日本国内でも議論が巻き起こり、波紋が広がっています。
特に注目されているのは、NDAに基づくプロジェクトでAdobeのソフトウェアを使用することが難しくなる可能性です。
これに加え、「Adobeが推進する生成AI機能の学習にユーザーのコンテンツが利用されるのではないか」との懸念も浮上しています。
Adobeは、昨年末から「Adobe Express」やPhotoshopにおいて、画像生成AIを活用したツールを提供し始めました。
これにより、クリエイティブプロセスが効率化されるとの期待がある一方で、自身の制作物がAIの学習データに使用されることを懸念する声も少なくありません。
Adobeは、基本利用条件の改定がこうした懸念を助長する形になったことを認識しており、ユーザーの不安を解消するための説明を行っています。
Adobeによれば、コンテンツにアクセスする状況は、「フィードバックやサポート要求に対応するため」や、「詐欺、セキュリティ上の問題、法的または技術的な問題を検出、防止、解決するため」など、非常に限定的な場合に限られるとしています。
さらに、先日の投稿に対してAdobeの社員がリプライし、「私たちはいかなる形でも(投稿者)のプロジェクトにアクセスしたりしていませんし、そもそもそうするつもりも手段もありません(抄訳)」とコメントしました。
このように、社内からもユーザーの懸念を払拭するための動きが見られています。
Adobeの規約改定に関する議論は、ユーザーのプライバシーとデータの取り扱いに対する懸念を改めて浮き彫りにしました。
今後、Adobeがどのようにしてユーザーの信頼を回復し、この問題に対処していくのかが注目されるところです。
関連リンク
https://twitter.com/adobejapan
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