生成AIを使ったモデルの活用が広がる背景
筆者も頻繁に利用する「ファッションセンターしまむら」は、生成AI技術を活用したプロモーションプロジェクトを開始しました。
このプロジェクトは、タキヒヨー株式会社とAI model株式会社との共同によるもので、AIモデル「瑠菜(るな)」が主役を務めます。
生成AIモデルとは、人間のモデルを模倣し、AI技術で生成されたバーチャルモデルのことです。6月5日付の流通ニュースによれば、AIモデルにはスケジュール調整や撮影に時間がかからないという利点があります。
また、AI model株式会社のホームページでは、モデル撮影にかかるコストを最大70%削減できるとされており、この技術の経済的メリットが強調されています。
生成AIモデルのメリットと課題
AIモデルの導入には多くの利点がありますが、ネット上では賛否両論が飛び交っています。
例えば、2023年に集英社が生成AIを使って創り出したグラビアアイドル「さつきあい」の写真集『生まれたて。』が発売された際には、大きな議論を巻き起こし、最終的に発売が中止される事態となりました。
こうした事例は、生成AIモデルに対する社会の反応がまだ定まっていないことを示しています。
一方で、広告代理店の関係者は、生成AIモデルには確実な需要があり、今後も広がると予想しています。
「実在のアイドルや芸能人と比較して、生成AIを使ったモデルの最大のメリットはスキャンダルがない点です。近年、芸能人のスキャンダルが報じられると、企業は即座に対応を迫られ、長期にわたり準備してきた企画が一瞬で無駄になることがあります。生成AIモデルなら、そのようなリスクを回避できます。」と述べています。
企業にとっての生成AIの利点
企業にとって、生成AIモデルの利点はスキャンダルのリスク回避にとどまりません。
VTuberのようなバーチャルな存在でさえ、時にはスキャンダルに見舞われることがあります。
例えば、SNS上での発言が問題視され、謝罪に追い込まれるケースが増えています。
こうしたリスクに対処するため、生成AIモデルの導入は企業にとって非常に魅力的です。
実際、生成AIを利用すれば、現実には存在しない完全にバーチャルなモデルを作成でき、企業が直面する潜在的な問題を未然に防ぐことができます。
「生成AIモデルは、企業にとって非常に都合が良いものです。撮影コストの削減に加え、利便性が高く、特にSNSの普及によって広告が炎上しやすい現代において、その価値はますます高まっています。クレーム対応や過度なプレッシャーに悩む企業にとって、生成AIモデルの活用は合理的な選択となるでしょう。」と、ある専門家は述べています。
モデルと消費者の新たな課題
生成AIモデルの登場は、従来のモデルに対して新たなプレッシャーをもたらす可能性があります。
モデルには、これまで以上に厳しい自己管理が求められるでしょう。
また、モデルを支えるマネージャーの役割も一層重要になります。
加えて、消費者側のモラルも問われることになるでしょう。
企業に対する過度なクレームや過去の発言の掘り起こしが企業の存続を脅かすこともあります。
実際に、SNSでの一件の投稿が企業の業績に大きな影響を与えるケースも増えています。
社会全体がモデルや企業に対してもう少し寛容になることが求められています。
しかし、その実現は難しいかもしれません。
生成AIモデルの活用が進む中で、私たち消費者も企業やモデルに対するアプローチを見直す時が来ているのかもしれません。
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