2024年6月12日、短文共有SNS「X」(旧Twitter)は、「ポスト(投稿)」への“いいね”を一括して非公開化する仕様変更を発表しました。
この変更により、ポストに誰が「いいね」したかを確認したり、他のユーザーがどの投稿に「いいね」したのかを閲覧したりすることができなくなりました。
Xの公式声明によると、この変更は「ユーザーのプライバシーをより一層守る」ことを目的としています。
また、Xのオーナーであるイーロン・マスク氏は「いいねを非公開にした結果、いいねの数が激増した」と、その効果を強調しました。
この変更に対して、ユーザーの間では賛否両論が巻き起こっています。
多くのユーザーが突然の仕様変更に混乱をきたし、意見が分かれています。
「いいねした人を見るツール」の登場
そんな中、あるプログラマーが、「これまで通りにいいねしたユーザーを見る」ことができるツールを開発し、公開しました。
このツールはXのウェブ版(x.com)上で提供されており、簡単な手順を踏むだけで、ポストに「いいね」したユーザーを確認できる専用のダイアログが表示されます。
このツールは公開後、瞬く間に拡散され、多くのユーザーが利用報告をしており、現在までに1万以上の「いいね」を集めています。
多機能なツールとその特異性
通常、この種のツールはPCのWebブラウザ拡張機能として提供されることが多いですが、今回のツールはPCだけでなく、AndroidやiOSのスマートフォンでも利用可能です。
この点が多くのユーザーの関心を引いています。
安全性と仕組み:どうして「いいねした人」が見られるのか?
このツールが本当に安全かどうかという点について、専門家による解析が行われました。
その結果、部分的に安全であることが確認されました。
ツールのプログラムコードは複雑な手法を使っているものの、危険な動作を行う要素は含まれていないとされています。
このツールの主な仕組みは、「いいねユーザー一覧を表示するメインプログラムを画像に変換して外部サーバーに保存し、保存された画像を各ユーザーのブラウザで読み出して、解読してプログラム化し、それを実行する」というものです。
このプロセスにより、従来通りに「いいね」したユーザーを確認できるようになっています。
しかし、こうした手法は「強引」とも言え、全てのユーザーにとって完全に安全であるとは言い切れません。
特に問題となるのは、ブラウザが本来想定していない動作を行っている点です。
このため、悪意ある者がコードを改ざんするなどのリスクも存在します。
ユーザーがこのツールを使用する際には、信頼できる作成者であるか、プログラムがどのような動作をするかを事前に確認することが重要です。
X側の対応不足が背景に
では、なぜこのツールが「いいねした人」を見ることができるのか? その理由は、XがAPI(アプリケーションプログラムインターフェース)を開放したままにしているからです。
APIとは、アプリケーション間でデータをやり取りする仕組みで、今回のケースでは「いいね」を非表示にするという急な変更が原因で、Xが完全に新しい仕様に対応できていない状況が生じました。
その結果、このAPIを利用することで、ツールは引き続き「いいねした人」のデータを取得できるのです。
将来的にXがこのAPIを閉鎖すれば、このツールも使えなくなり、本当に「いいね」が非公開化されることになるでしょう。
また、このツールは、Xにポストされた画像をリクエストする動作を含むため、対象となる画像が削除されるとツールは動作しなくなります。
ユーザーへの注意喚起
ツールの配布者は、利用者に対して「自己責任で使用するように」と警告しています。
つまり、ツールの使用によって発生するいかなる損害についても責任を負わないとしています。
ユーザーは、これらのリスクを理解した上で、慎重に判断する必要があります。
このように、Xの「いいね非公開化」仕様変更とそれに対抗するツールの登場は、プライバシーとユーザーの利便性に関する重要な問題を提起しています。
今後のXの対応に注目が集まるとともに、ユーザーは自身のデジタルセキュリティについてもより深く考える必要があるでしょう。
いいねした人を見るツール
https://x-delete.github.io/likes2.html
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