米連邦取引委員会(FTC)は、Adobe Systems Inc.の「Creative Cloud」サービスにおける「年間プラン(月々払い)」の早期解約料に関する情報が不十分であるとして、カリフォルニア北部地方裁判所において同社を提訴しました。
この訴訟には、Adobeの上級副社長であるマニンダー・ソーニー氏とデビッド・ワドワニ氏も含まれています。
Adobe Creative Cloudのサブスクリプションプラン
Adobeは、「Acrobat」「Photoshop」「Illustrator」など、幅広いデザインおよび生産性向上ソフトウェアを開発・提供しており、それらを「Creative Cloud」としてサブスクリプション形式で販売しています。
Creative Cloudの契約にはいくつかのオプションがあり、「月額プラン」「年間プラン(月々払い)」「年間プラン(一括払い)」の3つの支払い方法があります。
早期解約手数料の開示問題
FTCによると、Adobeの「年間プラン(月々払い)」は契約期間が1年で、月々の支払いを行う形式です。
しかし、このプランを早期に解約する場合、契約残り期間の50%の解約手数料が課されます。
この重要な契約条件が、消費者に対して十分に開示されていないことが問題視されています。
FTCは、Adobeが契約を結ぶ際にこの重要な情報を小さな文字で表示したり、消費者が気づきにくい場所に配置していると指摘しています。
また、無料試用期間が終了した後、自動的に有料サブスクリプションに移行する際も、早期解約手数料に関する情報が不明確であるとしています。
これにより、多くの消費者が無意識のうちに不利な契約条件を受け入れてしまうリスクが生じています。
複雑な解約手続きと消費者への影響
さらに、Adobeの解約手続きは非常に複雑で、多くのステップを踏む必要があります。
この過程で、消費者が高額な早期解約手数料に直面することが強調されています。
FTCは、こうした手続きの複雑さが、消費者に不当な障害を設けているとしています。
アメリカと日本のサイトの違い
Adobeの日本サイトでは、Creative Cloudプランの画面に各プランの違いや解約料に関する説明が明確に記載されています。
しかし、アメリカのサイトでは、同じ情報が不十分であるか、目立たない場所に配置されていることが多いとされています。
プラン契約を進める過程で解約料が発生することは示されていますが、その具体的な金額についての情報は不十分です。
FTCの要求
FTCは、Adobeに対して恒久的な差止め命令を求めており、これにより、今後同様の不透明な契約条件の提供を防ぐことを目指しています。
また、不当な利益の返還や消費者への返金、さらに金銭的な民事罰も要求されています。
この訴訟の結果、消費者保護の観点から、サブスクリプションサービスの契約条件に関する透明性が求められるようになることが期待されています。
まとめ
今回のFTCによる訴訟は、Adobeが提供する年間プラン(月々払い)の早期解約料に関する情報開示の不備を巡るものです。
消費者が不利益を被ることのないよう、透明でわかりやすい契約条件の提示が求められています。
この問題は、サブスクリプションビジネス全体に対する規制の強化と、消費者保護の重要性を再認識させるものとなっています。
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