昨年、個人情報の流出問題をきっかけに、LINEヤフーは親会社のネイバー(Naver)との関係を見直し、システムやサービスの分離を進めることを決定しました。
そして、2026年に予定されていたネイバークラウドとLINEヤフー子会社間のシステム分離が、2024年内に前倒しされることが正式に発表されました。
この決定は、LINEヤフーがネイバーからの影響を段階的に減らし、独立性を高めるための重要なステップです。
背景と経緯
2023年に発生した個人情報流出事件により、日本総務省からはLINEヤフーに対し、ネイバーとの資本関係を見直すよう求める行政指導が出されました。
この指導を受けて、LINEヤフーはネイバーとの関係解消に向けた具体的な手続きを開始しました。
これには、インフラやサービスの分離だけでなく、組織面での変革も含まれています。
システム分離の前倒し
LINEヤフーの出沢剛CEOは、2024年内にネイバークラウドに委託している社員用システムと認証基盤の分離を完了する計画を明らかにしました。
当初の予定では2026年の実施でしたが、これが前倒しされ、2025年3月までに完了することが目標とされています。
これは、LINEヤフーがネイバーからの技術的依存を早期に解消し、自社独自のインフラを確立するための重要な一歩です。
サービス分野での脱ネイバー
インフラの分離に加え、LINEヤフーはサービス分野でもネイバーとの関係を終了する方針を打ち出しました。
具体的には、LINEヤフーは2024年4月30日までに、日本国内で提供しているモバイル送金・決済サービスのLINE Payを段階的に終了する計画を発表しました。
LINE Payは2014年にネイバーの子会社であったLINEによって開始されたサービスですが、今後はソフトバンクが運営する決済サービスのPayPayに移管されます。
組織の変革
さらに、組織面でも大きな変革が進んでいます。
LINEヤフーの定期株主総会で、シン・ジュンホ最高製品責任者(CPO)が取締役会から除外されることが決定されました。
シン氏は「LINEの父」と呼ばれ、LINEアプリの開発と事業を主導してきた人物で、取締役会において唯一の韓国人メンバーでした。
彼の退任により、LINEヤフーの取締役会は全員が日本人となります。
資本関係の見直し
出沢CEOは、LINEヤフーの親会社であるAホールディングスに対するネイバーとソフトバンク間の株式変更については具体的な言及を避けました。
Aホールディングスは、LINEヤフーの株式の64.5%を保有しており、ネイバーとソフトバンクが50:50の割合でその株式を保有しています。
しかし、個人情報流出事件を受けて、日本総務省はネイバーとの資本関係の見直しを求めています。
LINEヤフーは、親会社などに対してネイバーとの株式関係を検討するよう要請しており、現在のところ具体的な決定はありませんが、今後の進展が注目されます。
今後の見通し
日本総務省は、LINEヤフーに対して来月1日までに行政指導に対する改善案を提出するよう求めています。
業界では、ネイバーが当面はLINEヤフー株式の維持を表明する見込みですが、ソフトバンクとの株式売却交渉が続くとの見方が多いです。
LINEヤフーは、資本関係の見直しを含め、決定事項があれば速やかに公表する意向を示しています。
まとめ
LINEヤフーの「脱ネイバー」は、システムやサービス、組織の面で進行中の重要な変革です。
個人情報流出事件をきっかけに、ネイバーからの影響力を減らし、自社の独立性を高めるための取り組みが加速しています。
今後も、LINEヤフーがどのようにしてネイバーからの分離を進め、独自の道を歩んでいくのかに注目が集まります。
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