2024年6月22日、KADOKAWAは、サイバー攻撃によるシステム障害に関して、臨時のグループポータルサイトを通じて公式声明を発表しました。
この声明では、サイバー攻撃の犯人と称する者がKADOKAWAグループに関する情報を一部報道機関に提供したことについて、同社が強く抗議する姿勢を示しました。
声明によると、特定の報道機関が、ランサムウェア攻撃を含むサイバー攻撃に関連して犯人を名乗る者からのメッセージを掲載したことが問題視されています。
KADOKAWAは、こうした報道が犯罪者を利する可能性があり、さらなるサイバー攻撃を助長する恐れがあると指摘しています。
そして、報道機関に対して強く抗議するとともに、損害賠償を含む法的措置の検討を進めていると発表しました。
同時に、この件に関するコメントは差し控えるとしています。
NewsPicksの記事とその反響
今回の問題の中心にある報道機関は、ユーザベースが運営する経済媒体「NewsPicks」です。
6月22日、NewsPicksは「【極秘文書】ハッカーが要求する『身代金』の全容」というタイトルで有料会員向けの記事を公開しました。
この報道は、「KADOKAWAの悪夢」と題するシリーズ企画の初回として、サイバー攻撃の背景にある悪質なハッカーによる金銭要求や流出データを人質にした脅迫行為について詳述しています。
この記事が公開された直後から、SNSやNewsPicksのコメント欄では多くの議論が巻き起こりました。
「深部まで迫った内容」として注目を集める一方で、KADOKAWAの関係者からは批判の声が相次ぎました。
特に、KADOKAWAの代表取締役CEOである夏野剛氏は、声明の内容を自身のNewsPicksアカウントに投稿し、NewsPicksの報道姿勢を強く非難しました。
さらに、元「ニコニコ動画」の指揮をとったことで知られる川上量生取締役も、「犯人と称するグループからの一方的な情報をスクープと称して喜んで記事にするNewsPicksのやり方は、犯罪者の脅迫に加担する行動であり、メディアとしての良識を疑います」と強く批判しました。
報道の是非をめぐる意見の分岐
これに対して、NewsPicksの記事担当副編集長である大酒丈典氏は、「報道協定の議論は関係ありません」と説明し、報道の正当性を主張しました。
一方で、SNSでは、NewsPicksの報道姿勢を批判する意見が多数寄せられました。
例えば、「公式が説明しない相当な理由がある」「サイバー攻撃を助長させかねない」という懸念の声や、「(身代金を支払ったという内容を踏まえ)報道すべきだと思ったのだろうか」といった理解を示す意見まで、多様な反応が見られました。
KADOKAWAの今後の対応
KADOKAWAは、6月14日に発表した「第2報」にて、サイバー攻撃による各事業への影響や対応について説明していました。
今後も正確な調査結果や復旧状況について、新たな事実が判明次第、改めて報告するとしています。
今回の事件により、企業のサイバーセキュリティ対策や報道のあり方について、社会全体での議論がさらに深まることが予想されます。
この一連の出来事は、サイバー攻撃の影響力とその報道に関する倫理的な問題について、企業やメディアに対する大きな教訓を提供するものであり、今後の対応が注目されます。
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