Google、Appleのブラウザ「Safari」を経由した自社AI機能へのアクセスをブロックしようとしていた

Google、Appleのブラウザ「Safari」を経由した自社AI機能へのアクセスをブロックしようとしていた

Googleは、iPhoneのSafariブラウザで「AI Overview」機能を動作させないことを検討していたことが明らかになりました。

この「AI Overview」機能は、Googleの人工知能(AI)がWeb上の情報を自動的にまとめ、検索結果に対する回答として表示するものです。

最終的にGoogleはこの計画を取りやめましたが、その背景にはいくつかの戦略的な要因があったと考えられます。

Safariの一極集中を緩和する狙い

GoogleがSafariでのみAI検索機能を無効にすることを検討していた理由の一つとして、iOS上で圧倒的なシェアを誇るSafariブラウザへの依存を減らしたいという意図が挙げられます。

iOSでは多くのユーザーがSafariをデフォルトブラウザとして使用しており、これがGoogleにとっては一つの課題となっています。

GoogleはAppleに対して巨額の支払いを行い、Safariをデフォルトの検索エンジンとして設定してもらう契約を結んでいます。

しかし、これはGoogleにとって大きなコスト負担であり、何とかしてこの関係性を変えたいというのが長年の願いです。

司法省の反トラスト法違反訴訟の影響

さらに、この巨額の取引は米司法省の反トラスト法違反訴訟の対象となっており、将来的に取りやめとなる可能性が高いと指摘されています。

アメリカだけでなく、ヨーロッパや日本の行政機関からも、Appleに対してSafariと同等にサードパーティーブラウザを扱うよう圧力がかけられています。

そのため、SafariをiOSのデフォルトブラウザとして維持することがますます困難になってきています。

Appleの新しい動きと生成AI

一方で、AppleはiOS 18の新機能「Apple Intelligence」をリリースする際、生成AIチャットボットであるChatGPTをiPhoneに組み込むことを計画していると報じられています。

この取り組みにおいて、AppleはOpenAIといっさいの金銭を交わしていないことが特徴です。

AppleはChatGPT(有料版を含む)をユーザーにオプションとして提供できる利点があり、OpenAIはAppleの広大なユーザーベースにアクセスできるため、双方にとって利益がある取引となっています。

GoogleとAppleの関係に与える影響

これらの動きが、GoogleとAppleの関係にどのような影響を与えるかは注目に値します。

現在、AppleはGoogleの生成AI「Gemini」をiPhoneに統合することも検討していると伝えられており、この方向性がどう展開するかも気になるところです。

GoogleがSafariでのAI機能をブロックする計画を見送ったことは、単なる技術的な決定ではなく、複雑なビジネス戦略や法的な背景に影響されたものです。

今後、GoogleとAppleの競争や協力のあり方がどのように変化していくのか、引き続き注視する必要がありそうです。

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