政府は、重大なサイバー攻撃を未然に防ぐための「能動的サイバー防御」に関連する新たな自衛隊の任務を創設する方向で調整に入っています。
この新任務では、平時においても発電所などの重要インフラや政府機関を守るために、攻撃元のサーバーに侵入し、無害化する措置を自衛隊に行わせる権限を与えることを検討しています。
これは、複数の政府関係者によって明らかにされました。
現在、この計画は与党や有識者会議(座長は佐々江賢一郎元駐米大使)の協議を経て進められており、秋の臨時国会に自衛隊法や警察官職務執行法の改正案など関連法案を提出することを目指しています。
能動的サイバー防御とは、政府が平時からサイバー攻撃を事前に検知し、必要に応じて攻撃元のサーバーなどに侵入して無害化する仕組みです。
政府はこの侵入・無害化措置を警察や自衛隊に担わせたいと考えています。
現行の法律では、武力攻撃に至らない事態での自衛隊の活動は、警察や海上保安庁の対応が困難となった場合に限られています。
治安出動や海上警備行動などがその例です。
しかし、自衛隊には平時から重要インフラや他の政府機関をサイバー攻撃から防御するための法的な根拠がありません。
したがって、能動的サイバー防御を実行するためには、自衛隊法にサイバー対処行動の任務を追加する必要があります。
警察庁は2022年4月にサイバー特捜隊を新設し、その後特捜部に格上げして態勢を強化しています。
警察庁は国際共同捜査でロシア人ハッカーを訴追するなどの実績を重ね、犯罪としてのサイバー攻撃の調査・解析に強みを持っています。
一方、自衛隊は有事の際に反撃するために、攻撃元のサーバーを無害化する能力を高めてきました。
政府内では、侵入・無害化措置において警察と自衛隊が継ぎ目なく連携するための計画も進んでいます。
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を発展的に改組し、その後継組織が指令塔として全体の総合調整を行う案が検討されています。
現在、防衛省のサイバー防衛隊を中心とする専門要員は約2300人ですが、政府は2027年度までにこれを4000人規模に拡大する計画です。
また、防衛関連産業に対するサイバー攻撃への防護態勢を構築し、支援対象をさらに拡大することも想定しています。
このようにして、政府はサイバー攻撃に対する防御能力を大幅に強化しようとしています。
source: 読売新聞オンライン image: トラベルjp
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