カスペルスキー、米国市場から撤退へ:製品販売禁止が引き金

カスペルスキー、米国市場から撤退へ:製品販売禁止が引き金

ロシアのサイバーセキュリティー企業「カスペルスキー」は、7月18日までに、アメリカ国内での事業を段階的に縮小し、アメリカに拠点を置く従業員をレイオフ(一時解雇)する方針を発表しました。これは、先月、米商務省がカスペルスキーのソフトウェア製品のアメリカ国内での販売や供給を禁止する措置を取ったことを受けてのものです。この事業中止は、7月20日から開始されます。

カスペルスキーは、約20年前にアメリカ市場に進出しましたが、今回の声明では、商務省の措置などの影響により、もはやアメリカ国内での事業機会を見出すことができないと認識したと述べています。

米政府当局者は、ロシア政府がカスペルスキー社のウイルス検出や除去ソフトウェアを利用してハッキングやデータ収集を行い、アメリカを監視する恐れがあると主張しています。これに対して、カスペルスキー社は強く否定しています。

カスペルスキーによると、自社のソフトウェア製品を使用している企業は世界中で約24万社に上り、個人ユーザーは4億人以上に達しています。しかし、アメリカ国内で導入している企業数や人数については明らかにされていません。

米政府機関ではすでにカスペルスキーのソフトウェア使用が禁止されていますが、今回のアメリカ国内での販売禁止措置は前例のないものでした。この販売禁止の法的根拠は、バイデン大統領が2021年に出した「米国民の個人情報を外国の敵対勢力から守る」ことを目的とした大統領令に一部基づいています。また、トランプ前大統領が2019年に出した関連の大統領令にも関わっています。

カスペルスキーは1997年にモスクワで創業し、ウイルス対策ソフトウェア企業として世界の最有力企業の一つに成長しました。同社の研究者たちはサイバーセキュリティー分野で最上位級と評価されており、ロシアやアメリカ、イスラエルを含む政府が関与するハッキング行為や一般的なコンピューターユーザーを狙ったサイバー犯罪の脅威についての分析で知られています。

これにより、カスペルスキーはサイバーセキュリティー業界において高い評価を受けていますが、今回のアメリカ国内での事業縮小は同社にとって大きな打撃となります。このような状況下で、カスペルスキーが今後どのように対応していくのかが注目されます。

source: CNN.co.jp image: 読売新聞オンライン


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