2024年7月9日にリリースされた「Firefox 128」には、新たな設定項目として「プライバシー保護された広告解析をウェブサイトに許可する」という機能が追加されました。この設定は、個人に関する情報を収集することなく広告のパフォーマンスを向上させることを目的としています。この設定にアクセスするには、Firefoxの「設定」から「プライバシーとセキュリティ」の欄に進むと見つけることができます。デフォルトではこの機能はオンになっていますが、チェックをオフにすることで解除が可能です。
この設定項目は「プライバシー保護属性(PPA)」という、Firefox 128から導入された実験的な機能をオン・オフするためのものです。PPAは、ウェブサイトがユーザーの個人情報を収集せずに広告のパフォーマンスを把握できるように設計されています。Firefoxを開発するMozillaは、PPAの導入について「クロスサイトトラッキングに代わる非侵入的な代替手段をサイトに提供することで、ウェブ全体で広告に関する有害な慣行を大幅に削減したい」と述べ、機能の実装意図を説明しています。
Mozillaによれば、PPAではブラウザ自体がユーザーを追跡し、ウェブサイトによる意図しないユーザー追跡を防ぐ仕組みになっています。しかし、この新機能を巡ってはプライバシー保護の観点から議論が巻き起こっています。PPAは個人の情報を収集できる存在を極限まで減らすものの、依然として個人情報の収集が行われることに変わりはありません。
プライバシー専門家のジョナ・アラゴン氏は、「Mozillaは、広告業界のために作られたソフトウェアを組み込むことによって、広告業界が個人の情報を収集し、インターネット上で追跡するという行為に、個人の利益も含め他のすべての当事者よりも正当な利益があると誤って主張しているのです」と指摘し、この機能がユーザーにとって不要かつ最大限の利益とならないものであると非難しています。アラゴン氏はまた、こうした機能の追加がMozillaのキャッシュフロー改善につながるのではないかとも考えています。さらに、ソーシャルサイトのHacker Newsでは、「ユーザーの同意を得ることなくデフォルトで機能がオンになっているのが問題」とする声も上がっています。
こうした議論が展開される中、Firefox開発部門の最高技術責任者であるボビー・ホーリー氏がRedditに登場し、「インターネットは巨大な監視網と化しており、これに対して何かをすることが私たちの目的です。私たちの追跡防止機能は同分野の他の機能よりはるかに強力です。プライバシーの性質に関係なく広告に反対する人もいるため、機能をオフにするトグルも用意しました。デジタル広告がなくなることはないと考えていますが、正しく対処できれば監視というものはなくなるはずです」と説明しました。
このように、Firefox 128の新機能PPAに対する意見は賛否両論であり、データ保護と広告の効率化のバランスをどう取るかが引き続き議論の焦点となっています。
source: Gigazine image: Mozilla
NNU - ネオネットワーク連合をもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。