五輪の経済効果低迷、パリ大会はリオ以下 – MLBや海外サッカー日本人選手への関心増加

五輪の経済効果低迷、パリ大会はリオ以下 – MLBや海外サッカー日本人選手への関心増加

近年、日本国内での五輪の経済波及効果が以前ほど感じられなくなっています。第一生命経済研究所のエコノミストによると、2024年のパリ五輪による消費押し上げ効果は、2016年のリオデジャネイロ大会を下回ると予想されています。これは、近年海外プロスポーツで活躍する日本人選手が増え、多くの国民の興味が大谷翔平選手が活躍する米大リーグ(MLB)や海外プロサッカーに移っているためです。五輪の個人競技を友人や家族と集まって観戦するような熱は薄れ、ネット視聴の普及もあって、以前ほどの消費需要の創出が見込めない状況です。

第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストの試算によれば、パリ五輪による国内の消費押し上げ効果(7~9月)は2560億円であり、無観客開催だった東京大会(2021年)の2476億円を上回るものの、リオ大会(2016年)の2621億円は下回る見通しです。

五輪開催によって押し上げられる消費の主な分野には、観戦のためのテレビの買い替えやパブリックビューイングによる飲食関連、観戦ツアーなどがあります。しかし、テレビの買い替え需要は期待が薄い状況です。永浜氏によれば、若者を中心に多くの人々が五輪の競技をネットで無料視聴できるようになり、スマートフォンで観戦する人が増えたため、五輪がテレビ買い替えの動機にはならなくなっているとのことです。

さらに、多くの海外プロスポーツがネットで配信され、五輪以外でも日本人選手の活躍を容易に視聴できるようになったことで、五輪の特別感が薄れ、経済波及効果の縮小につながっています。

今回のパリ五輪では、サッカーやバスケットボールなどの人気競技が日本時間の未明に開催されることが多く、これも国内消費にとってマイナスの要因となりそうです。スポーツバーでの飲食や、自宅観戦用のビールや宅配料理の需要拡大には結びつきにくい状況です。

一方で、五輪観戦ツアーの需要は堅調に推移しています。JTBが販売した高級ホテルに宿泊し、開会式や競技を観戦できる6泊7日のツアーは1人約410万円と高額ですが、完売しました。歴史的な円安で旅費は高騰しているにもかかわらず、観戦ツアーの売上は伸びているとのことです。

このように、五輪の経済波及効果は以前ほどではないものの、一部では需要が堅調に推移している分野も存在しています。今後、五輪をどのように国内経済に活用していくかが重要な課題となりそうです。

source: 産経新聞 image: HALF TIMEマガジン


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